昔も今も、暮らしを支える国産塩

国産塩を知る

国産塩は世界トップクラスの
安全できれいな塩です

日本の
塩づくりの歴史

日本の塩づくりは、
縄文時代から
現在につながっています

縄文・弥生時代

先史時代

日本の塩づくりのはじまりは、今から3000年ほど前の縄文時代から弥生時代にかけてのこと。食生活の変化がきっかけと考えられています。古代の塩づくりの遺跡から製塩土器も発掘され、その後に始まった藻塩焼きが伝えられています。しかし藻塩焼きがどのように行われたかは諸説あります。広くいわれているのは、ほんだわらの表面に乾燥付着した塩に海水をかけてかん水をつくり、これを煮詰めたとされています。百人一首「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ」であまりにも有名になりました。

神話時代

塩の神様の代表は「塩土の神」あるいは「塩土の爺」でしょう。伊勢神宮、鵜戸神宮、塩竃神社など多くの宮に祭られています。産業の神様、通商の神様、道案内の神様と姿を変えますが、いずれも人間が生きていくための塩をつくり、運んだ先人を祭ったものです。宮城県の塩竃神社の末社御釜神社では毎年7月藻塩焼きを模した藻塩焼き神事が行われます。

平安時代

塩田時代

揚浜式塩田

塩田として古いのは、今も能登に残されている揚浜式塩田が約1200年前(平安時代)の文献として出ており、赤穂などで発掘調査が行われました。基本は粘土板の上に砂をまき、その上に海水を撒いて蒸発させて砂表面に塩を析出させ、その砂を集めて海水で溶かしてかん水をつくり、釜で煮詰める方法です。

室町時代

入浜式塩田

昭和30年代まで行われた入浜式塩田は、約500年前(室町時代末期)には行われていました。基本は海水満潮面よりやや低い所に砂でできた塩田をつくり、毛細管現象を利用して海水を表面に導き砂上に塩を析出させ、その砂を集めて海水で溶かしてかん水をつくり、釜で煮詰める方法です。

昭和30年

流下式塩田

昭和30年頃から昭和47年までは流下式塩田が行われていました。ポンプで海水を汲み上げ、わずかに傾斜した粘土盤でつくった塩田上に流して蒸発させ、さらに竹笹などでつくった立体濃縮装置(枝条架)に液滴状で流して風力で濃縮してかん水をつくり、これを釜で煮詰める方法です。

昭和47年

膜濃縮の時代

膜濃縮せんごう法

昭和47年からは、塩田は姿を消し工場内で塩をつくるようになりました。現在も行われている“膜濃縮せんごう法”です。濃い塩水をつくり、立釜で煮詰める方法は安定品質のキレイな塩を大量に作ることができます。

昔の塩のつくり方については、塩事業センターのホームページ「塩百科」をご覧ください。

国産塩の
つくり方

世界トップの安全性を保つ
日本独自の技術“膜濃縮せんごう塩”

永年にわたる研究により、世界に誇る安全で安心、効率よく生産できる日本独自の技術を構築しました。
国産塩作りは、塩田濃縮せんごう塩から膜濃縮せんごう塩に変わり、製塩は自動化され、工場生産に変わっていきました。
この製塩法によって海洋汚染物質や細菌から守られる安全な塩生産が可能になりました。

国産塩生産の仕組み

採かん

海水を汲み上げ、精密にろ過します。この時ろ過海水は水道水基準よりも10倍位きれいになります。この海水を膜で濃縮。膜は電荷をもった百万分の1mm位の孔の空いた膜で、塩分を選択的に通します。この方法を“膜透析”といいます。膜を通すためのエネルギーとして直流電気を使います。この海水を濃縮することを“採かん”といいます。海水中の塩分は膜を通すことで塩分を6倍程度に濃くすることができます。電荷をもった膜と孔が小さいことで、海水中の汚染成分や細菌類はきれいに除去されます。

せんごう

塩分が濃くなった海水(かん水)を大きな釜で煮詰めて塩にします。釜の大きさは直径5~7m、高さ15m位の巨大な釜で、通常3~4つの釜を直列につないで使います。内部を真空にすることで蒸気量の3倍くらい蒸発ができます。この方法を“真空式”といいます。釜にはさまざまな粒径の塩ができるように工夫されています。釜から出てきたドロドロの塩は、遠心分離機で塩と苦汁に分けられます。湿った塩のまま出荷するのが“未乾燥塩(湿塩)”で、乾燥させた塩が“乾燥塩”となります。

イオン交換膜による
海水濃縮の原理

イオン交換膜による海水濃縮の原理

特殊な膜と電気の力により、NaCl 3%→18%

3%の塩分濃度の海水を、陽イオンだけを通す陽イオン交換膜と陰イオンだけを通す陰イオン交換膜を交互に配置した槽に入れ、両端から電流を流します。海水にはナトリウムなどのプラスイオンと塩化物などのマイナスイオンが含まれており、イオン交換膜はこれらのイオンを選択して透過させる性質があります。そのため、濃縮したいイオンだけを通すことで、海水から濃い塩水を作ることができます。海水の汚染成分には細菌類、生活排水、船底塗料などさまざまなものがありますが、塩分のイオンに比べて大きく、イオンにならないため除外できます。

真空式製塩の原理

真空式製塩の原理

釜を真空にすれば低温でもかん水を沸騰させることが可能

真空式製塩は、釜の内部を低圧にすることで水の沸騰点を下げ、低温で水分を蒸発させることで塩をつくる製塩法です。3~4個の大きな密閉釜を並べ、一方を真空にして110℃(1.5気圧)の蒸気をもう一方から入れて加熱します。釜内を減圧することで、段数が進むにつれて真空度が高まり、低温で沸騰させることができます。低温での水分蒸発が可能になるため、従来のかん水を立釜で煮詰める方式に比べて燃料が節約できます。